中学生の頃、お昼はお弁当だった。しかし部活をしていた私は家を早く出ていたので、お弁当がどうしても間に合わない時にはパンを買っていた。お昼前になると小さなバンが中庭へやってくる。地元のパン工場から直接販売に来るのだ。バンの前に机を2つ並べ、その上にパンが入ったケースを並べる。
通っていた中学校は市内で一番のマンモス校で、全学年で1,500人ほどいた。全員がパンというわけではないが、パンを購入する生徒がいっせいに中庭へ行くことになる。お昼のチャイムが鳴ると中庭には人だかりができる。授業が終わるのが遅くなったりしたらアウトだ。3年生になるとだいたいクラスが4階にあるので、1階まで降りるのに時間がかかる。しかし、年功序列で3年生は割りこんだりしても文句は言われない。距離的には1年生が有利だが、だからといって希望のパンが買えるわけではないのだ。
人気があったのは惣菜パン。ハンバーガーやサンドウィッチ。私が好きだったのは揚げパンで、中にカレーとソーセージが入っているものだった。このパンを手にできるのは、授業がチャイムと同時に終わることと席が廊下側であることが条件だ。
中庭は戦場と化す。パンを売るおばさんも毎日切れ気味だ。生徒が押し寄せパンのケースが押されるからだ。「押さんとって!」と怒鳴るあの姿は今でもよく覚えている。
授業が長引き、人がいなくなった頃に行くと・・・甘い菓子パンしか残っていないのだ。中学校のパン戦争。今となっては懐かしい。